会社を解散する


 その3 解散・清算 ( 事業終了 )
 事業の再生が難しい場合や休眠会社を続けても再開の目途がたたない場合、法人を抹消する必要があります。人は結婚するよりも別れる時の方がエネルギーを必要とすると良く耳にします。 法的な手続きを先送りにして、休眠会社のままにしておくのは別居状態を続けるのと似ています。 簡単な届とはいえ毎年の申告も面倒ですし、休眠を税務署が認めても均等割りを免除されないとか、解散しないと企業保険がおりない、社会保険を脱退できない、個人事業に転換するというようなケースではなおさらのこと、登記上の法的手続きを取らなければなりません。


解散・清算 ( 事業終了 )に関する手続
 さて、会社を閉じるにはどのような手続が必要になるのでしょうか?メインは法務局への登記申請と税務署関連です。

挿絵01 法務局への手続
 解散及び清算人選任登記 
1. 解散登記とは
会社の解散とは,会社の法人格の消滅を生ずる原因である法律事実をいいます。 合併による解散を除いて,会社は解散登記によって直ちに消滅するのではなく,清算手続きに入り,この清算の結了によって消滅します。要するに,解散登記をすると会社は清算の目的の範囲内で存続し,清算の結了によって消滅します。(この間最低2ヶ月は必要です) 清算の目的の範囲内で存続する会社を清算中の会社といい,解散登記前の会社の法人格を持続するもので,解散登記の前後を通じて同一性が認められますが,営業活動をすることはできず,その存在は清算の目的の範囲内に縮減されます。
2 解散登記事由
有限会社は,次の事由によって解散します(会社法471条)。
一  定款で定めた存続期間の満了
二  定款で定めた解散の事由の発生
三  株主総会の決議
四  合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五  破産手続開始の決定
六  第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判
有限会社と株式会社の解散の事由を会社法では上記6項目掲載していますが、大半の企業が解散する理由は第3項の「株主総会の決定」でしょう。株主総会の特別決議(過半数の株主が出席し2/3以上の賛成)があれば解散が決定します。平たく言いますと、株主の大半が事業を止めたくなれば止められるということです。
3. 清算人とは
会社が解散すると,会社は清算を開始しなければなりません(会社法475条)。取締役は(代表取締役を選任している場合は代表取締役も)当然に退任し,清算事務は清算人が行います。
清算人は、次に掲げる職務を行います(会社法481条)。
一  現務の結了
二  債権の取立て及び債務の弁済
三  残余財産の分配
解散の決議と併せて、清算人の選任をします。清算人は代表取締役がそのままなるのが普通で、解散登記された法人には代表取締役や取締役は居なくなり、清算人と監査役( 解散前から居る場合)だけが会社機関となります。
4. 清算人の就任
次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となります(会社法478条)。
一  取締役(次号又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
二  定款で定める者
三  株主総会の決議によって選任された者
但し、清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任できます。
5. 清算人の解任、退任、辞任
清算人(裁判所が選任したものを除く。)は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができます(会社法479条)。
関係法令に清算人の退任の規定はなく清算が完了するまでが任期と推定されます。 辞任については特に関係法令に規定はありません。清算人に限らず会社の役員について辞任できることは法令の文中から読み取れますが、特別に規定されていません。従って取締役などの辞任と同様にいつでもできるのではないかと思われます。
清算人の資格については取締役や代表取締役の規定が原則的に準用されます(会社法491条)。
6. 代表清算人の就任および退任
(1)代表清算人の就任
清算人を数人置いた場合には,原則として各自会社を代表しますが(会社法483条),株主総会の決議によって代表清算人を定めることもできます。
解散前に代表取締役を置いている場合に,取締役が清算人となるときは,特に選ばなくても、代表取締役が代表清算人となります(会社法483条)。
7. 解散及び清算人選任登記申請必要書類
 □ 登記申請書
 □ 登録免許税(収入印紙)を添付した台紙
 □ 株主総会議事録
 □ 定款の写(有限会社は不要)
 ※ 解散事由によっては他にも必要。
解散の登記において登記すべき事項は、「解散の旨」並びに「その事由」及び「年月日」です(商登法71条)。申請書に記載します。 清算人の登記において登記すべき事項は,改正前の有限会社と同様に,清算人の氏名及び住所並びに代表清算人の氏名(特例有限会社を代表しない清算人がある場合に限る)となります(通達、第3部‐第2-2-(2))
8. 同:登録免許税
解散登記登録免許税(収入印紙代) 金3万円 (登録税別表24-1-ソ)
清算人選任登記登録免許税(収入印紙代) 金9,000円(登録税別表24-2-イ)
9. 登記申請期間
 イ 解散後初めて登記をする場合
  a 取締役が清算人となったときは,解散の日から本店所在地においては2週間内,支店所在地においては3週間内に登記申請をしなければなりません。
  b 清算人が選任された場合(裁判所によって選任された場合も含む)は,選任の日から本店所在地においては2週間内,支店所在地においては3週間内に登記申請をしなければなりません。
 口 清算人就任の登記後に清算人の選任,退任等の変更があった場合
  変更があったときから本店所在地においては2週間内,支店所在地においては3週間内に登記申請をしなければなりません。


挿絵06  清算結了登記 
1 清算結了とは
清算結了とは解散会社が債券債務0になった状態を指します。 正式には、解散登記の後、清算人によって、清算手続きに入った有限会社や株式会社が清算事務を終了すると,清算人は決算報告書を作成し,それを株主総会に提出してその承認を受けなければなりません(会社法507条)。このように総会の承認があれば清算は結了し,その会社の法人格は消滅します。この場合,清算人に不正な行為がない限り責任は解除されます。
2. 清算結了登記申請必要書類
 □ 登記申請書
 □ 登録免許税(収入印紙)を添付した台紙
 □ 株主総会議事録
 □ 決算報告書
3. 同:登録免許税
解散登記登録免許税(収入印紙代) 金2000円 (登録税別表24-1-ハ)
4. 登記申請期間
清算が結了しますとその会社の法人格は消滅するため,決算報告書の株主総会による承認決議のときから本店所在地においては2週間内(会社法929条)、支店所在地においては3週間内に清算結了の登記をしなければなりません。
なお,清算人は債権者に対して2ヵ月以上の期間を定めて債権の申し出をするように公告をしなければなりません(会社法499条)。したがって,清算人は解散登記後2ヵ月を経過しない間は清算結了の登記をすることはできません。

挿絵02 税務申告の手続
 解散事業年度にかかる確定申告 
解散日の属する事業年度開始の日から解散日までの期間を1事業年度とみなして、その期間にかかる解散確定申告書(各事業年度の所得に対する法人税にかかるもの)を解散日の翌日から2月以内に提出および申告税額の納付をしなければならないこととされています。
 清算中の各事業年度の確定申告 
 解散日の翌日から1年ごとに区切られた期間を1事業年度とみなして、それぞれの事業年度終了の日の翌日から2月以内に清算事業年度の確定申告書(各事業年度の所得に対する法人税にかかるもの)の提出、申告税額の納付をしなければならないこととされています。
 残余財産確定日の属する事業年度の確定申告 
 残余財産確定日の属する事業年度について、「残余財産確定事業年度の確定申告書」を、残余財産確定日から1月以内(その期間内に残余財産の最後の分配が行われる場合には、その行われる日の前日まで)に提出、及び申告税額の納付をしなければならないこととされています。
 清算結了届出書の提出 
 解散した会社の清算結了登記が完了した後、国税及び地方税について、遅滞なく、その旨を届け出なければなりません。 具体的には、異動届出書の「異動事項等」欄に清算結了、「異動年月日」欄に清算結了日及び清算結了登記日を記載することとなります。
 ※ 残余財産確定日までの申告のことと、清算結了登記完了にかかる届を混同する話をよく耳にいたします。この区別をしっかり把握しておきましょう!

有限会社や株式会社解散清算 その他手続
○ 銀行の解約
○ 社会保険加入の場合以下の機関などへの解除届
    社会保険事務所、健康保険組合、厚生年金基金
○ 労働保険加入の場合以下の機関などへの解除届
    労働基準監督署
    ハローワーク
  などに対する手続きが発生する可能性があります。
付録
 官報公告に関すること 
(債権者に対する公告等)
第四百九十九条  清算株式会社は、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった後(解散事由が発生した場合)、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない。

  よく解散会社は官報公告をしなければならないと言われる根拠が上記会社法の条文です。 債権者が居なければしなくても良いように感じますが当方で調べた範囲でそのあたりのことは情報がありません。 いづれにしても、官報公告の実行につき例えば官報の写しを添付することが登記実務上必要とされていないため、議論にならないのでしょうか。
   官報公告は将来手続の瑕疵を理由に清算結了無効の訴えでもされる恐れがなければ特に必要ないのではと考える方がいてもおかしくはないと思います。
  ただ登記実務上、清算結了登記申請は解散登記から2か月以上(土日などが絡むと2か月では不受理になるので、2か月と5日以上開けると無難)経過しない清算結了日での申請は不受理となります。一律的なのは会社法の趣旨からすると変ですが、法務局は官報公告を前提にしていると思われます。通達などで決めているのかも知れません。

 事業税均等割に関すること 
事業税の均等割は解散日までの月割り。
1か月未満は切り捨て。
合計で1か月未満の場合、1か月。


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